la dolce vita

記者による映画解説(ネタバレあり)。ときどき書籍にも言及します。

書籍『問いのデザイン―創造的対話のファシリテーション』を読む

 

問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション

問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション

 

買ってきた書籍『問いのデザイン―創造的対話のファシリテーション学芸出版社を読んだ。

私自身に大学院のキャリアはないが、学生時代に研究をやっていて「問い」がアウトプットの質を決める的な話を耳に胼胝ができるほど聞かされた思い出がある。そのせいか文学作品を読むときでも「この作品の問いはどういったものなんだろう?」「どうも問いのピントがずれてるな」と考えて読むようになった。

 この書籍は前半はどちらかというと知的で創造的な対話の作法に重きが置かれているが、後半になればなるほどファシリテーターのための本になっていく。著者の宣伝上仕方ないと言ったところか。

なにかの「問い」を立てて、それを拡幅しながら実践をするという作業は、そういう環境に育った人間でなければできない作業で、後発的に優秀な人材を目指す人間は意識して取り組む必要がある。とりわけ、同一ワークのテーマに関して参加者が異なる前提を持っているせいで話が噛み合わない、一向に進行しないという場合は本書のファシリテーション能力が必要不可欠となるだろう。また、実学系の卒論を書く際に、原点的な問いを設定してモチベーションを高めるのにも有効かも知れない。

入社数年目で、大きなプロジェクトを任された際などに読むべき本となるだろう。これからも本書が多くの読者に読まれることを望む。